CURTA計算機 4 ホームポジションカムと逆転防止ラチェット機構修理
まず、クリアレバーの変形である。変形量は極僅かであり、指で強制的に矯正することにした。注意深く、3度ほど変形を戻す方向に力を加えると、上面とほぼ平行な状態に戻すことができた。見た目は全く変形の痕跡が残っていない。
次に、クランクハンドルである。これは分解してみないとわからない。資料を参考に、底の部分についている2本のマイナスネジを外す。ネジの頭を傷めないように、できるだけサイズのあったマイナスドライバーを使用する。外すと、首下が20mmほどの長いネジである。これで、下部のケースの固定が解除され、本体から下に抜くことができる。設定タブから下のケースは、底と一体に加工されている。ケースを外すと主要な部分のメカニズムが現れる。
まず底の部分である。クランクハンドルに直結した軸の下部軸受が中央にあり、その軸に2枚の円板が締結されている。下側の円板は、外周の一部が円弧状に切り欠かれている。また、その外周にカムフォロアーのような、ローラを先端に付けたリンクが見える。どうやら、これがクランクハンドルのホームポジションを決めているカム機構のようだ。しかしよく見ると、このローラが円板の外周から浮いてしまっている。リンクの支点部分の軸受けが固着しているらしい。下の写真は修理後のものであり、各機構は正規の状態になっている。
軸受部分にディグりーザーを吹きつけ、しばらく待ってから軽く力を加えると、軸受け部分のコイルバネにより簡単にローラが円板の外周に復帰してくれた。ハンドルの動作がおかしかったのも、キャリッジが動かなかったのも、このためだったようだ。CURTAは、クランクハンドルがホームポジションにないと、設定ノブやキャリッジを動作させえることができない。機械的にインターロックが掛かる仕組みになっているようだ。入荷し開封した最初の状態では、クランクハンドルが中途半端な位置にあったため、ロック状態になっていたようだ。
底の部分には、もう一つの小さなリンクがある。先端は爪のように尖っている。これは、上記ホームポジション用カムの裏側にある円板に対応しているようだ。こちらの円板の外周には、軸方向に細かい溝が掘られている。何のことはないラチェット機構である。これでクランク軸の逆転を防止している。しかしこちらも、爪を持ったリンクがぶらぶらしており、その円板に接触していない。よく見るとリンクの支点部分には極細い素線で作られたコイルバネが入っている。支点のネジを外し、バラしてみると、このコイルバネは底板の穴と、リンクの穴にその両端がはめ込む構造になっている。初期状態ではどちらかが外れていたらしい。
コイルバネも爪リンクも極小さな部品であり、バネの端をそれぞれの穴に嵌めるには、何らかの治具が必要だ。しかし、そんなものはない。何とか工夫することにする。少々思案した後、ミシン糸をループにしてバネの端に引っ掛け、穴まで誘導する方法を思いつく。まずバネの一端を底板の穴に嵌合し設置する。バネの他端に糸をセットし、爪リンクの支点部分をコイルバネの中に入れ、注意して固定ねじを中心にセットしてねじ込む。その上で糸を引き、バネに初期撓みを与えながらリンクの穴と嵌合させる。
老眼の目を酷使しながら、細かい部品を相手にバネを糸で注意深く引くと、なんと、簡単に嵌ってしまった。クランクハンドルの動作を確認すると、ちゃんと逆転防止の機能が再現した。また、ハンドルをホームポジションにもどすと、キャリッジもクリアレバーも動作するようになった。
最後に、それぞれの回転部分に極僅かなオイルを塗布し、カムやラチェットの外周部分にはグリスを薄く塗布して、この部分の修理を完了する。
これらの作業では、扱う部品が皆小さく、床に落とすとなかなか見つからない。専用の作業場があるわけではないので、落とさないように十分注意して作業を進めた。それでも、手元不如意で数度部品が落下し、その都度、床を嘗め回すような捜索作業で時間をとられた。少し大きめの丈の低い紙箱でも用意し、その中で作業をするのがベストだろう。
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理科系の方の趣味は違いますね。面白そうですね。
小生が社会人になりたての会社にはタイガー計算機がありました。少し使った思い出があります。仕事での計算は専らそろばんとヘンミ式計算尺でしたね。電卓を使うようになってからは、どんどん小型化の連続です。
計算の道具を考えても、大変な進歩の歴史が積み重ねられているのですね。計算機の思い出とともに、自分の現役時代を振り返ってしまいました。
機械式計算機は、なかなかよくできた機械です。電卓ができ、実用にはならなくなりましたが、巧妙な仕掛けには感動します。修理とともに、意味もない無駄な計算をして楽しんでいます。(家主)
投稿: hirasan | 2011年1月20日 (木) 09時21分